妊娠による循環血液量の変化
妊娠すると、赤ちゃんへの血液供給のため血液が増えます。
どのくらい増えるかというと、1.5倍から2倍程度増えるといいます。
日々の生活の中で、血液が減ることがあっても、増えることはあまりないことです。
血液量は、体重の13分の1、女性と子供では7%、男性で8%といわれています。
体重で換算すると、50㎏だと3.6リットルの血液を持ちます。
※13分の1、血液比重1.055で計算
血液にはたくさんの物質が溶け込んでいますが、何が入っているのでしょうか?

血液を分けると、血漿と血球に分かれます。
血球(45%)はシンプルに、赤血球と白血球、血小板に分けられ、白血球はさらに好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球に分けられます。
血漿(55%)は、水分(91%)、タンパク質(7%)、脂質(1%)、糖質(0.1%)、老廃物、電解質(0.9%)からなります。
水分がとても多いことがわかりますね。
これだけ充実した血液は、私たちが生きていくうえで欠かせないものです。
妊娠して、お腹に赤ちゃんを宿すと、新しい生命に栄養を送らなくてはなりません。
そのため血液は増える必要があるのです。

妊娠すると
・赤血球が20%増加
・ヘモグロビン量が10%増加
・血漿量が50%増加
・白血球が軽度増加
と増加傾向となりますが、大部分が水分である血漿が増えることで減少するものもあります。
薄まってしまうといったほうがいいでしょう。
・ヘマトクリット値は5から16%減少
・タンパク質減少
薄まってしまうことで、妊娠中は貧血の方が多くなります。
妊娠することで、血液が増えるには増えますが、増えるにはそれぞれ材料が必要となります。
水分が増えるので、もし妊娠前と同じような水分摂取をしているのであれば、足りず、他の場所から水分を導くでしょう。
例えば腸の中から水分を引っ張れば便は硬くなり、便秘になるでしょう。
皮膚や髪の毛、目、鼻、のどにある水分も取られていくかもしれません。
赤血球は細胞ですので、細胞の構造に必要なタンパク質や脂質、ヘモグロビンの材料である鉄分、タンパク質も必要です。
私たちは食事からのみ栄養を補給します。
妊娠中はもとより、妊活中から妊娠中を想定して栄養補給に励むことも妊娠を安心して過ごすための方法です。
この変化はすべて赤ちゃんを育むためのものです。
元気な赤ちゃんを育てたいとお考えであれば、しっかりと食事を考えていきましょう。
増えた血液に対応すべく、心臓もまた仕事量が増えます。
通常、心臓は一度の拍出で70ml/dlを押し出します。
1分間で80回だとすると70ml×80回=5600ml、5.6リットルの血液を全身に送ることになります。
血液が1.5倍から2倍も増えた妊娠中は、心臓の働きは大変なことになるというのは想像できます。
単純計算でも、1分間に8から10リットルもの血液を送ることになります。

そんな大量の血液を血管に送るわけですが、実は血管もまた太く拡張します。
プロゲステロンによる血管拡張作用が働くため、心臓から送り出される増えた血液をしっかり血管に流すことができます。
もし、血液が増えて心臓の仕事が増し、血管が広がらなかったら『高血圧』です。
妊娠による変化は、身体にとても負担が多いということがわかりました。
血を作って、増やさないといけないし、作った血を送らなくてはいけないし、妊娠というのは本当に命がけだと思います。
どうぞ妊婦さんを労わってあげてください。
銀のすず